360°パノラマ写真銀座に行く用があったのでついでに東京駅の前で写真を撮ってきた。
パナのデジカメに付いていたArcSoftのPanorama Makerで360°のパノラマ写真にしてみた。

一般に「パノラマ写真」といってイメージするのは横一列に繋がっているこのタイプだろう。
ぐるっと一周に渡って写真を撮れば、360°の繋がった写真もできる。山頂などの展望のよい場所に行く機会があれば誰でも撮ってみたくなる写真だ。
Panorama Makerは横一列分であれば360°に繋ぐことができ、jpgの画像と、QTVRというムービーを作製してくれる。QTVRとはQuickTimeなどで見られる特殊な画像でカーソルによって好きなところを自由に動かして見られるものだ。
先の写真をQTVRにしたものが次の写真。(画面上で左クリックしながらドラッグしてみてください。見るにはQuickTime5.0以上が必要)
※ただし、Panorama Makerで作製すると3MBにもなったので、今回は後述する「VRMakePano」を使った。サイズは約400KB。
このような写真はキヤノンのデジカメに同梱されている、「PhotoStitch」でも作製できるとのこと。
深遠なるパノラマ写真の世界やはり画像を扱うということで、もともとは主にMac系の方々が熱中しておられたようである。
QTVRやパノラマ写真で検索するといろいろな情報が入手できる。フリーソフトなどもMacの方が入手しやすいかもしれない。
で、実際に精度の高いものを作ろうとすると、専用の雲台やらレンズやらソフトが必要になり、とんでもない世界に踏み込む覚悟が必要となるのだ(笑)。
パノラマ写真を撮るために一番気をつけないといけない点に「
ノーダルポイント(光学中心)」というものがある。私は詳しくないので知りたい人は検索してみてほしいが、素人の理解するところによれば、レンズによって収束した光(映像)が一点で交差するポイントである。パノラマ写真を撮る場合は、このポイントが極力ずれないようにしないといけないということだ。ソフトが画像を合成する場合においてもこれがズレていると、整合性のある写真を作りにくいようだ。
このポイントは使用するレンズによって決まるので、一眼デジカメなどの場合はレンズごとにそのポイントを割り出さなければならない。また、三脚にカメラを固定してパノラマ写真を撮影する際にも、このポイントを中心にして回転できるような専用の雲台が必要となる。
レンズにおけるこのポイントは情報が整備されていないので、パノラマ写真ファンの人たちはみな涙ぐましい努力によってこの「ノーダルポイント」を割り出すようである。
水準器などは当たり前の装備で、中にはレーザー墨出し器(!)を使う人までいるのだが、基本的には調整しては写真を撮り、の繰り返しで、ズレの最小となるポイントを探し出すようだ。
専門家たちは、このノーダルポイントのズレを1mm以内にすべし!などとのたまうので、私のように、手持ちで適当に撮影するいい加減なやり方ではとてもパノラマ写真を撮っています、などという資格はないと怒られるだろう(笑)。たしかに自分自身がカメラを構えたまま、回転して撮っている姿はかなりマヌケではあるのだが・・・。
ま、しかし、誰もがコンデジを持ち歩いている昨今だから、ちょいと写真の楽しみ方が広がればいいのである。三脚など常に持ち歩くわけにもいかないので、素人パノラマとしては最低限の注意と、あとは進化したパノラマソフトの恩恵を借りるということでいいだろう。
素人パノラマの注意すべきポイント1.30~50%ぐらい重複している写真を撮っていくこと。帰宅してから重なっていなかったとなっても後の祭り。とくに前回のエントリのように2次元の平面タイプのパノラマを撮るときは何十枚も撮っていると分からなくなってくる。頭の中で碁盤の目を想定して順番に撮っていこう。
また、私の経験ではつい左右の脇の画像を取りこぼす傾向がある。
2.ズーム、ホワイトバランスなどは固定しておく。オートで撮ると、太陽側と反対側で、明るさが全く異なったりする。大きなビルなどを分けて撮る場合も空がたくさん入る場合は自動的に建物が暗くなり、下のほうでは明るくなるなどしてしまうので要注意(下記参照)。

こうなると、ソフトがブレンドするときに無理の無い中間の階調を狙っていくため、どんどん平坦というか、トイカメラ風になっていくように思う。それはそれで味があるが・・・。
また、オートフォーカスも遠方と近くの物と別々に焦点が合わないように注意。(近景は破綻しやすいのでできるだけ写り込まないようにする)
3.手持ちとはいえ、上記のノーダルポイントをできるだけ合わすべく、カメラの中心がブレないように意識すること。このポイントのブレの許容量等については、パノラマソフトのPhotoFit の操作マニュアルが参考になる。(特に『5-3 撮影上の条件 5-3-1【空間の一点から撮影する】』の部分)
PhotoFitはこれもかなり優秀なソフトで、サイズなどに制限があるが、フリー版(
PhotoFit feel) もあるので興味のある方は試用されるとよいだろう。
4.通行人など、どうしようもない場合が多いのだが、できるだけ動くものは入らないようにする方がよい。前回紹介した「AutoStich」などは非常に優秀なソフトで、動いているものを消してくれたりするが、それでも半身だけが消えたりするような心霊写真紛いの合成になることがよくある。
フリーソフトで360°パノラマ写真を作るには有料のソフトに比べると、画質が落ちるようだが、フリーソフトだけで360°のQTVRを出力することができる。
1.まずは上記の点に注意して写真を撮る。
2.「PhotoFit feel」や「AutoStich」などのフリーソフトで横一列に繋ぐ。
このとき、もともと360°パノラマを作れる有料ソフトとフリーソフトの違いは両端を輪にして繋いでくれるかどうかということである。フリーソフトの場合は横一列に繋いでくれるからといって、その両端もぴったり一致するとは限らない。なので、多めに繋いでからビューワーなどで両端が連続するようにトリミングしてしておく必要がある。
3.2.で繋いだ写真を反時計方向に90°回転させ(縦長にする)、bmp形式で保存する。
4.次の
「Utilities」というサイトから5項目目の「VRMakePano」というフリーソフトをDLする。(同じところにある「VRMakePano.exeの使い方」というファイルに詳しい使い方が載っている)
基本的には3.で作った写真を読み込ませるだけで、QTVRを吐き出してくれるので難しいことはない。
Test→Make Pano Movie→3.の写真を選択→次の「ファイルを開く」で「キャンセル」→「Save tile movie file as: 」でそのまま「保存」→「Save panoramic movie file as:」で任意の名前をつけて「保存」の手順となる。
参考:*QTVR(Quick Time Virtual Reality)
大きく分けて、中心に位置した物体を360°あらゆる方向から動かして見ることができる「QTVRオブジェクト」と、見る人が中心に位置して、景色を360°動かす「QTVRパノラマ」の2種がある。
前者は最近はデジカメなどの新商品が出たときに、メーカーサイトで前後左右及び上下などもカーソルで動かして見ることができる3Dの写真がよく掲載されているので、見たことがある人も多いだろう。
後者はさらに横方向にぐるっと360°見渡せる「Cylindrical Pnoramas(円筒パノラマ)」とこれに上下も含めて全天球状に見ることができる「Spherical(球)又はCubic(立方体)Pnoramas」に分けられる。
Panorama360 すばらしい山岳パノラマ写真のサイト
GIGAZINE
「世界のいろんな風景やイベントを360度パノラマ写真で見られるサイト」 QTVR Diary 私のQTVRの制作手順 (来る来る神戸)荻窪VR世界 「QTVRムービーの理論と実践」がとても参考になります。
電算室/QuickTimeVR QuickTime Tools and Utilities appleのQuickTime関係のツールが入手できます。
ご紹介に預かりました、QTVR Diaryのにのみやと申します。
初心者向けQTVR講座と化した文章、非常に端的に分かりやすく、
かつ面白かったです。瑞々しい文章に、ちょっと嬉しくなりました(笑
さて、ノーダルポイントに関する記述ですが、補足を。
円筒パノラマ(CylindericalPanorama)に関しては、
ノーダルポイントはそんなに気にしなくても良いです。
ぜんぜん手持ちで大丈夫。
それこそ逆に、ガンガン手持ちで撮ってやってくださいな。
その気軽さがウリみたいなもんですし!(笑
ノーダルポイントを気にするのは、球形パノラマ(CubicVR/Spherical Panorama)の方ですね。上下にも撮影しなければなりませんので、角度の認識がシビアです。そのため撮影の基準点となるノーダルポイントが必要になるワケです。
で、無料のパノラマ作成ソフトは「hugin」というソフトがあります。バラバラに撮った写真を繋げてパノラマ写真にしてくれるソフトです。MacにもWinにも...Linux版もあります。オープンソースなので勿論無料!ただコレは繋げるだけのソフトなので、QTVRに変換するソフトが必要です。円筒パノマラであればVRMakePanoでも問題ないですが、CubicVRにしようと思ったら、Pano2QTVRの購入をお勧めします。ご検討アレ!
(それぞれのアプリは、ググったらすぐにHitすると思いますヨ)