長年お世話になった、あの「プリントゴッコ」の本体の販売が6月30日をもって終了する。
「プリントゴッコ本体販売終了のお知らせ」年末になると大手の文具店などの店頭で行われる実演販売は、ほとんど冬の風物詩となっていたものだ。さすがにパソコンや家庭用プリンターの普及によって売り上げが落ちていったようだ。
私も以前はプリントゴッコで年賀状を作っていた。年末に徹夜で部屋中を葉書で埋め尽くすような作業を(インクを乾かすために重ならないようにバラ撒くので)するのが恒例となっていた。3版くらい重ねるのが常だったので、ある種の苦行であった(笑)。

(ちなみにこれは当時「七福神」のシリーズの賀状を作っていたもので、「毘沙門天」ですな。原稿は全てCADで描いていた。ベジェなどは全く使わず、丸い線はR(半径)5とか、ほとんど数値の打ち込みで作っていた。世の中広しといえどあんまりそんな風にしてCADで絵を描く人間は多くないだろう(笑)。プリントゴッコは一つの版の中でも色が変えられるので版数よりも多い色を使えるのが利点だ。)
友人のイラストレーターも毎年見事なプリントゴッコの賀状を送ってくれていたが、彼もパソコンでの作成に変えてから久しい。
まあ、印刷の味わいは捨てがたいものがあるのだが、やはり多版刷りを目論むと、誰にとってもあの作業はたいへんなのだ。
プリントゴッコは「ゴッコ」などという名前が付いているので子供だましと思われ勝ちだが、実は非常に優れた「孔版印刷機」である。原理的には「シルクスクリーン」と同じだが、製版作業が簡便なので、版画家などでも愛好家は多いようだ。実際、版画の一ジャンルとして認められている。販売されている最大サイズはB5だった筈なので、小品向けではあるが。
残念ながら売り上げが激減しているため、備品の値段が昨年からほとんど2倍になってしまった。ランプは保存が利くが、マスター(版)は劣化するようだ。
ちょうど先日、DesignWorksさんでプリントゴッコの記事があったばかりで、また何か作品でも作ってみるか、と思っていた矢先のことで、ちょっと残念だ。
プリントゴッコアート「 Gocco (Mini Screen prints)」(5月27日)
グラフィックからレターセットまでプリントゴッコアート色々(5月30日)
(記事中に出てくる「
Etsy」は手作り品を販売するワールドワイドなサイトである。いずれこれについても何か書きたい。)
「プリントゴッコ研究室」プリントゴッコを使って作品を作っている方のリンクがあるのだが、切れている所も多いのがちょっと寂しい。
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