『ブックデザイナー・名久井直子が訪ねる 紙ものづくりの現場から』
グラフィック社編集部 2015年11月25日

『デザインのひきだし』の記事に加筆してまとめられた「紙もの」製造の現場のレポ。
内容は「印刷」、「製紙」、「製本・紙加工」に分かれている。
「印刷」では「活字鋳造」、「活版」、「手摺木版」、「カラーコロタイプ印刷」などの伝統技術を紹介。
「製紙」では東日本大震災で大打撃を受けた日本製紙株式会社の石巻工場、コミック用の色更紙、伝統和紙などの製造現場をルポ。
「製本・紙加工」では製本、型抜き、古紙問屋にポップアップ製本の現場を取り上げている。
いずれも紙や製本好きにはたまらない場所で、何よりも訪れた名久井さん自身の嬉々とした様子が伝わってくる。ただ、現場がかなり特殊なところばかりなので、まったくこのような場面を知らない読者にとっては具体的な様子が伝わりにくいようにも感じた。おもしろそうな雰囲気は分かるのだが、たとえば技術的な面での説明がもう少し詳しければと、やや隔靴掻痒の感がある。まあ、紙面の制限もあり、仕方ないのではあるが。
ただ、近年、ここで取り上げられた現場の多くがテレ東の「和風総本家」などで取り上げられており、そちらではかなり丁寧な取材で説明されていたのでご覧になった方は理解が深まるかと思う。個人的にはポップアップについてもっとページが欲しかったが、きっとそちらはいつか『デザインのひきだし』の方でやってくれるだろう。
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- 2016-02-22
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