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『溝引きと烏口』  - 失われつつある文房具と技術 -

昨日イベントで紹介した昔の文房具。

「溝引き」

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昔の竹製の30㎝定規などで上面に「溝」が掘られていたのをご存知でしょうか。今でもこのプラスチックの定規のように溝のついているものがあります。

先端に球のついた棒(これが「溝差し」)とセットで使います。下の写真のようにお箸を握る要領で「筆」とともに持って…


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つまり、基本的に「筆」で真っ直ぐな線を引くための道具です。筆は定規に直接つけられませんからね。溝差しはここでは金属ですが、中空のガラス製のものが多かったですね。今でも大きな画材屋さんやネットでは手に入るようです。

デザインの授業で「平面構成」などがすべてポスターカラーで制作されていた時代には必須の技術でした。今ではもちろんパソコンなどでの作業が主流でしょうから使う方は少なくなっているでしょう。

最近、「SHIROBAKO」というアニメ製作会社を舞台としたアニメで、年配の背景画家さんが使っていました。また、先日、紹介した『もじ部』の中でもフォントデザイナーさんが使っておられます。他に今でも建築パースを描く場合に使われる方がいるかもしれません。達人になると直線だけでなく、曲線も描けるとか…

水彩画で真っ直ぐな線を引く必要があるときにも使えますね。お箸のように間隔を調整しながら使うのですが、日本人にはぴったりの道具です。必ずしも専用の道具を使う必要もありません。ペンでもお箸でも真っ直ぐな棒があればいいので、覚えておいて損はない技術です。


「烏口(からすぐち)」

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こちらは真っ直ぐで且つ一定の太さの線を引くための道具です。

今でも製図用品売り場で見かけます。


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厚紙や筆でインクを中に入れます。直接、インクに浸けると外側にもついて汚れるからです。



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ネジで隙間の幅を調整し、定規の斜めの面を絵のようにして使います。インクがすぐに切れますが、1本でいろいろな太さの線に対応できるという利点があります。

製図や版下を作成するシーンで使われてきました。「ロッドリング」のような製図用万年筆が出てきて次第に使われなくなっていきました。私は子供のころ、石森正太郎の「まんがの描き方」のような本で紹介されているのを見た記憶があります。いかにもプロが使う道具としてあこがれたものです。










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