エッシャー先生の『上昇と下降(Ascending and Descending)』の段数を数えてみると15段か16段になるようです。わざとかどうかは分かりませんが、少し見えにくくなっています。
前々回、「その1」でこの無限階段はアイソメ上で簡単に描けると言いましたが…どのような条件でも成立するという訳ではありません。条件としては、60°、120°の同一のひし形を階段のフットプリントとして水平に並べ、垂直方向での段差の高さが等しいということですが…

そのような条件で並べても上記の通り階段が一致せず成立しない場合もあります。
アイソメ上で「ペンローズの(無限)階段」がどのような条件で成立するかは簡単な計算で求めることができます。
この問題は高校や大学で図法やデザインを学ぶ学生さんにとってはとてもよい課題なので宿題としておきましょう( ´∀` )
課題:アイソメトリック図上で「ペンローズの階段」成立する条件とは?どころで、自分がこの錯視に興味を持った理由は、「そもそもこの階段が成立する最小段数はいくつだろう?」と思ったのが始まりです。
「その1」では12段の図を載せました。
さらに減らして8段でも成立!

実はこの厳密な条件下では6段が最低の段数であることが分かっています。

もちろん、その1で書いたように階段の真ん中に穴が開いているのかどうか微妙なところがありますが。
さて、ここで少し条件をゆるめてみましょう。階段のフットプリントの形状を同一でなくてもよいとします。昇降方向に対し、幅さえ一定であれば階段の長さは問わないようにしてみます。すると、この6段の無限階段から…
5段

4段

3段!

どうでしょうか?無限階段になっていて、アイソメ上、矛盾はありませんよね?
しかし、少なくなればなるほど、真ん中の壁が穴になっているのかどうか気になりますね。そこでその解決策を考えました。
気になる部分を見えなくすればよいのです。

真ん中に柱を立てるか穴を開けてしまうかです。ただ、柱は見せたい部分が見えにくくもなるので、穴の方が適していますね。
この手法で3段を描きなおすと、

完璧!実際に存在できそうなぐらい矛盾がありません。
まだ終わりません。この勢いで…

なんと2段の無限階段も描写可能!
しかも形状としては8個もバリエーションができます。

さらに穴を開けると、同一形状になるものが出るので数は減るのですが、非常にエレガントな形状になりました。
アイソメ上で段差と幅が同じで無限階段になっています。
つまり最低2段あれば無限階段が成立する訳で…
いやいや、
まさか、

1段…!
条件は満たしています。
面白いことに時計回りで昇る場合、段差が右側に来ると成立しないのです。描いてみてください。
で、穴を設定すると、

これぞ究極!1段で無限階段。
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- 2018-06-13
- デザイン
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