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ハリ・セルダンの苦笑い

天才的な社会心理学者である『ハリ・セルダン』は母集団が充分に大きければ、人間の行動、即ち未来の予測が数学的に可能であると説いた。
彼の深遠な理論は余人の理解の及ぶところではないが、「あるある」の放送によって、スーパーの店頭から納豆が消え、ヤラセがバレて納豆業者悲鳴、番組終了までを予測するのは容易なことだったに違いない(笑)。

「烏合の衆」とはよく言ったもので、ある刺激によって共通の行動をとる「無思考刺激反応型集団」こそ「マス」と呼ばれるものの正体である。

ま、自ら流行ものに飛びつき、愚かしさを楽しむという姿勢もありだと思うので、納豆ダイエットに挑んだ人たちも、それほど怒っていないのではないかな。

だいたいこの手の番組は話半分どころか十分の一程度で楽しんでいればよいのだと思う。聴きなれない新しい薬や食材ならまだしも、今回は「納豆」である。
いったい日本人は何百年食ってきたんだよ!?納豆を食べて痩せるなら、経験「知」として伝承されていてしかるべきであろう。メディアのヤラセに騙されたのを怒る前に、日常的な肌感覚が劣化していることを自覚すべきだろう。


思い出したのはもう、随分と前に「洗脳」系の民間企業研修に参加したときのことだ。

2日に渡っての胡散臭い研修の終了際になって、主催会社の社長が現れた。
スタッフ曰く、「みなさんはとても幸運です!忙しい社長がスケジュールの合間を縫って馳せ参じてくださいました!こんなことってめったにないんです!!」
さて、その後、涙を流さんばかりに大喜びの参加者たちと社長が一人一人「ハグ」していくことと相成った。

見知らぬオッサンとハグしなければならない己の不運を呪いながら、無邪気によろこぶ参加者たちにあきれていたものだ。

どう考えたってこのオッサンはいつも来るに決まっているではないか。当然スタッフ込みのヤラセなのであるが、参加者の誰でもが思う、「自分達は、幸運な選ばれた存在でありたい」という願望に付け込んで信じさせるわけだ。

テレビの健康番組もそうで、見てよかった「お得な情報」というわけである。
本当は「お得」なのは薬なりを売っている業者とテレビ局と出演して適当なことを言っているタレントだけで、視聴者では決して無い。

私は一度も見たことはないが、いつも醜悪な顔とだみ声で画面を満たしている某インチキ占い師が高視聴率を取っているらしい。作る方も見る方もヤラセ合意でのことと思うが、分かっていて楽しんでいるつもりがいつの間にか計算可能なマスの中に埋没しているのだということにも気が付かなくなっているのではないだろうか。

もう一つ共通項のあるネタを。

これも随分と前のことであるが、マジシャンの「カッパーフィールド」の公演を観にいったことがある。

その中でこういう出し物があった。

当日、その場で見ている観客の中から一人を選んで舞台に上げ、カッパーフィールドと2人でハワイにテレポートし、その場で現地の人にサインを貰って再び戻ってくるというものだ。

何千人も観客がいる広い会場に、ビーチボールが投げられ、ボールは次々と観客の手によってあちこちにたらい回しされる。音楽が停まったとき、それを手にしていた青年が舞台に上げられた。

青年は偶然にもアメリカ人だったが、カッパーフィールドのマジックで2人は舞台から消失、ハワイからの同時中継をしている画面に現れ、現地でサインを貰って再び帰ってくる・・・

だいたい日本公演だというのに「仕込み」がアメリカ人だというのがもう、日本人をナメているわけね。
帰宅してビデオをチェックしたらラスベガスの公演でも同じ青年が舞台に上がっていた(笑)。

つまり、このマジックの「要諦」は舞台から消えるところでも、ハワイに現れるところでもなく、広い開場の中でどうやってその青年にビーチボールを渡すか、というその一点に尽きるわけだ。

さて、その種は・・・・

知りませんよ、もちろん。マジシャンじゃないし(笑)。
しかし、論理的に考えれば、答えは一つしかない。
さーて、偶然を計算可能とする要因は・・・ハリ・セルダン先生に聞いてみよう。


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2件のコメント

[C88] あるある大事件?ないない大事件?

このタイトルは、会社の常務がつぶやいていた言葉です。うまいもんだな~と思ったので拝借します。笑

私自身ダイエット大好き人間でした。
小学校低学年から「自分はデブだ」という意識を強くもっていて、いつもいつも痩せたくて、ゲッソリした人に憧れていました。
しかし、食べる事を拒び続けると、父親が本気で怒るんですね。こわくて、ダイエット中断、、途中から食べていました。笑

私の意識改革は大学に入ってから。
体育の先生との出会いがはじまりでした。
先生は50歳以上だろうと予測します。
すごく細くて引き締まっていて年齢を感じさせない、キレイな女性でした。

その先生は業界では有名なのか、時々あるある大辞典に出演していたんです。
(お医者さんや学者が白衣を着て解説するシーンありますよね。)
「先生出ていましたね!すごい~~」
と言うと、
「あるあるはデタラメな要求をしてくるから、出演を断る事もあるのよ。でも私が抜けた部分を他の人が埋めていて、堂々と発言したりしているの。」

番組から「こう言ってください」と依頼されるその内容が、いい加減だったらしいのです。

ウォーキング中
「テレビなんていいかげんだからね。
本当にいいのは、低カロリーなものを選んで食べる事。
とにかく運動をすること。
足を細くしたいんなら走るしかない。」
教えてくれました。

今回、こういった騒動があって、
「あ、先生は正しかったんだな、本当に」
改めて感じています。

無知はこわいですね、
情報に振り回されて、カラまわり。

難しい事を覚えたいし、特別な技術も手に入れたいけれど、
「生きる上でのベースの部分」は最低限、きちっと押さえておきたいと思いました。

[C89]

こんにちは。

「ヤラセ」に関するこの手の事件は以前からしょっちゅうあるので、今さら、の感もありますね。

今の若者はネット環境が当然のごとく身の回りにあるわけで、むしろ年配者より情報リテラシーやメディアリテラシーに関しての経験値が高いかもしれません。

しかしながら、手を変え品を変え、この手のグレイな情報は後を絶つことなく現れるでしょう。普段から冷静になっていろいろと見聞を深めるとともに、迷うようなときには素直に自分の皮膚感覚に訊いてみることが重要かもしれませんね。もちろん、そのためには自分自身の感覚を常にブラッシュアップしておくことが必用なわけで・・・「信じるに足る自分自身」というのは、まあ、それが一番難しいわけですが・・・
  • 2007-01-26
  • horirium
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