「Sony can not save earth」(ソニーでは地球を救えない)
また、思い切ったことを言ったものである。
この1月8日、「2007 International CES」会場内の記者会見の席で、三洋電機の野中ともよ会長の発言である。なんともバッサリと小気味いい(笑)。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/USNEWS/20070109/257276/三洋電機は2004年、 10月23日に発生した新潟県中越地震で主力の半導体工場(新潟三洋電子株式会社)が被災し、さらにデジタル景気の減速などで業績が急速に悪化。その後、取締役に野中ともよ氏を迎え、事業の建て直しに奮闘している。
野中さんは、先日のテレ東の番組、
「Design Channel」の中の「デザイン特講」でも“Think GAIA”という企業のビジョンを熱く語っていた。
(余談:「Design Channel」と言えば、キャスターの日経デザイン副編の下川氏の相手が、今まではアホのようにうなづくだけの若いモデルさんたちだったのが、今年からはタレントの「はな」さんに代わった。はなさんはNHKの新日曜美術館のキャスターを3年間務めただけあって、きちんと自分の発言をするので漸くまともな番組になった感がある。今までは3倍速ですっ飛ばしていたゾ。)
SANYO“Think GAIA”環境・社会活動環境配慮という企業理念は、野中さんが自ら「ナイーブ(世間知らず)に聞こえるかもしれない」と言うように、斜に構える向きからは「環境でメシが食えるか!」と揶揄されることもあるだろう。
実際、野中さんを迎えたあとも、再建の道は険しいようだ。
しかしながら、いかに企業の危機的状況であったとはいえ、これだけドラスティックに企業理念を「環境」にフォーカスさせるということは容易なことではなかった(これからも)だろう。
今後ともぜひ頑張ってほしいと思う。
で、新生サンヨーの第1弾として発売されたのが、充電式電池の「eneloop」である。

野中さんが、古巣のテレ東の番組、
「ワールドビジネスサテライト」に生出演したときに、この新製品の電池のことを熱く紹介したのだが、企業再生を賭けた第1弾の商品がちっぽけな電池であることに、キャスターの小谷氏も大浜氏も目を丸くしていたのが印象的だった。
商品としてはデザインの戦略等が効を奏し、まずまず成功しているようである。
三洋電機・エネループ担当者に聞くヒットの理由もちろん、白い外観のスッキリしたデザインは他の電池との差別化に役立っただろうし、繰り返し使えるということがサスティナブルであることは言うまでもない。
しかしながら、充電式の電池など大昔からあるし、デザインコンセプトも取り分け優れているとも思えない。この電池の魅力はガジェットウォッチャーの「スタパ斎藤」氏もベタほめするように、何と言っても圧倒的な自己放電特性のよさにあるのだ。
スタパブログスタパ氏は通常のニッケル水素電池なら半年で放電すると言っているが、私の経験ではちょっと古くなると半年どころか1ヶ月と持たないように感じる。ところが「エネループ」は本当にいつ充電したか忘れたぐらいのものでもちゃんと働いてくれる。自己放電がしにくいという特性を活かし、最初から充電して売られているのもマルだ。今後、劣化した充電池はすべてエネループに替えようと思っている。
さて、しかしながら気になるのはまず、このデザイン。すっきりしていていいのだが・・・。充電池というものは2本ないし、4本の組み合わせで使うことが多いわけだが、カメラなどの機器を連続的に使用するためには当然ながらその機器で使っている間に別のセットを充電しておくということが必要となる。そうするとついつい交換の際に充電したものとしていないものが混ざって組み合わせが分からなくなる、ということが起き勝ち。
つまり、充電池という製品には必ず、最低でも2種類の色だか何だかのデザイン違いが必用になるのである。(他社では対応している電池もある)これはもう「基本」といっていい。
もう一つはパッケージ。デジカメなどを持ち歩く場合、予備の電池も持ち歩くことは多いもの。そのときに電池がバラけないように2本なり4本なりを収納できるPP(ポリプロピレン)のパッケージがあれば、これは実に重宝する。
もちろん、充電池は、そういうパッケージとセットで販売されているものも多い。店頭でのパッケージがそのままケースとして使えればゴミも少なくてすむだろうし、PPは燃焼特性もよい(有毒ガスが少ない)。
しかるに写真のパッケージは全く設計構想の読めないブリスターパックになっている。
これは底と蓋の吊るしの部分が電池本体との摩擦で嵌っているだけなのだ。よく店頭でこんなのぶら下げていて落ちないものだ、とある意味感心する。
しかも購入後、一旦はずすと嵌めにくく、とてもじゃないが、持ち歩きケースとしては使用できない。すぐに捨てざるを得ないこんなパッケージは付けてほしくない。
ブリスターパックというものは通常、真空成形というもっとも融通の利かない(いろいろと機構をつけられない)製造方法で作られ、材料の無駄も多く、店頭では美しいが、消費者の手に渡ったとたんに多くはゴミと化す。
野中さんの理念が末端まで行き届くのはまだまだ難しいようだ。
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