『頭のいい人がしている仕事の整理術・改善術』 堀江恵治 ぱる出版
網羅的だが、考察は深くない。
仕事全般について非常に細かい言及をしている。著者の生真面目さが見て取れ、概ね好感が持てるのだが、単なる項目の列挙に終始して「術」と言えるほどのアイデアが盛り込まれていないのが残念だ。
例えば、この本の内容をよく示している部分として『上手に「断る」ための対話術』の部分がある。
『△厚意や誘いを断る
・・・・本当は受けたいのに都合がつかない場合は「とても残念。次の機会はぜひ。」と希望を述べてもいい。が、次の誘いを望まない場合は「残念」を強調せず、先のことはふれないことだ。』
この文章で「残念」と「先のこと」を省けば、何も残らないだろう(笑)。
また、同じく、
『△嘘はつかないのが無難
断るためについ作り話をしてしまうと、後になって困ることもある。やはりこの手は避けるべき。無理に理由を言わなくても断ることはできるはずだ。』
ということで、「無理に理由を言わなくても断ることができる」術の中身については何も書かれていない。
また、極めて細かい所まで網羅しようとするあまり、大手企業の「企業理念」や、「ビジネスマナー」、「敬語」にまで言及しており、やや蛇足の感がある。
他、構成として「仕事のしかたを改善する5つのメニュー」というテーマで、せっかく1章に
メニュー1.ファイリング(整理術)
メニュー2.スケジュール管理
メニュー3.段取り
その4.(なぜか「メニュー」でなくなっている(笑))コミュニケーション
その5.自分自身の意識
というキーワードを掲げながら、以下の章が、
2章 社内・社外業務の改善アクション
3章 スケジュール管理を改善する
4章 ファイリング・仕事管理を改善する
5章 コミュニケーションを改善する
6章 自分自身を改善する
と、順番が変わったり、キーワードの消失が見られるので混乱する。全体的に項目や構成をもう少し整理し、具体例を挙げたりしないと術としてのコアの部分が明確にならないと思う。
いずれにせよ、内容的にはことさら斬新な仕事術が提示されているというわけではないが、どのような職場においても基本となるような項目が細かく列挙されている。こういうことは誰もが忘れがちなので、再度自分の仕事を振り返るためや、フレッシュマンには参考になるかと思う。
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