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フリーのCADでオリジナル・リフィルを自作しよう 1

CADをドローソフトとして使う

今回から少し、フリーのCADソフトを使って、システム手帳のリフィルを自作する方法を簡単に説明していきます。

CADというと取っ付きにくいイメージがあるかもしれませんが、2次元CADは基本的にはドロー系のお絵描きソフトの仲間と考えてよいと思います。
大きな違いと言えば、やはりもともとは図面を書くためのものですから、きっちりした線を書くのに向いているということでしょう。その分、自由なフリーハンドの線でイラストを描いていくのは苦手だったりする場合もあります。

CADを使って図面などを書く場合は、ほとんどの場合、ピクセル単位ではなく、A4やA3の紙を設定して、mm単位で線を引いていくので、むしろお絵描きソフトに馴染みのない人には使いやすいかもしれません。

特に今回のように、リフィルのような、かっちりとしたフォーマットを作成する場合には適したソフトであると言えます。

慣れてくると自由にいろいろな図が書けるようになるので、「思考支援の道具」としても使えるかと思います。


CADのソフトはいろいろありますが、それぞれ一長一短があります。今回紹介する「AR CAD」はフリーソフトで、操作もそれほど難しくありません。イラスト専用のドローソフトや、市販の高機能なCADに比べれば、追いつかない点も多々ありますが、それでも、無料でこれだけの機能が使えれば充分でしょう。

それでは下記のページからダウンロードできますので、興味のある方は使ってみてください。
(※フリーソフトの使用は自己責任でお願いします。)
マニュアル付きの「会員版」と「一般用」とがあります。どちらでも構いませんが、マニュアル付きの方が分かりやすいでしょう。会員版を使うためには会員登録が必要です。

AR_CAD MANIA 


実際に慣れるまでは多少時間が必要かもしれませんが、ヘルプを参考にしながらいろいろ弄ってみれば、それほど難しくないことが分かると思います。

ここでは作例として1頁1週間の「A5リフィル」を作ってみます。

インストールして起動させたら、少し設定を調整しておきましょう。

1.【表示】から「グリッド」、「ルーラー」をクリックしてOFFにします。
好みにもよりますが、視界の邪魔になるだけで、あまり役に立ちません。この設定は「新規」に図面を書くたびに元に戻ってしまいます。

2.【表示】から「カラー」→「要素別データ設定色で表示」をチェック。
同じく【表示】から「太線」→「要素別データ設定太さで表示」をチェック。 
こうしておかないと線の色や太さを変更しても反映されません。

3.【ツール】の下にある用紙サイズ設定ボックスから「A5縦」に切り替えます。

4.レイヤ設定部の「名称」欄をWクリックし、0、1、2、3の名称をそれぞれ「補助」、「穴」、「線」、「文字」に変更しておきます。


「レイヤ」について

「レイヤ(画層)」とはグラフィック系のソフトではお馴染みの概念で、画面を言わば透明の薄いシートが重なったようなイメージで捉えようとするものです。(知っている方は飛ばしてください。)

例えば、レイヤ0に「植木鉢」、レイヤ1に「花」、レイヤ2に「蝶」を描いたとしましょう。
実際の見え方とレイヤー構造のイメージは下記のようになります。

070524a.jpg


こうしておけば、花の種類を変えたいときにはレイヤ1だけを描き変えればよいことになります。

また、各レイヤーは画面上で見えないようにもできます。CADのレイヤ設定欄のDi.の列で、「目が開いている」マークが「見えている(表示されている)」状態で、「目を閉じている」マークが「見えていない(非表示)」状態を示します。

070524b.jpg


つまり、レイヤ1の花をチューリップやバラなどといろいろ変えて比較してみたいという場合、レイヤ1を非表示にして、新たにレイヤ3に別の花を描けばいいわけです。

自分がどのレイヤに書き込んでいるかは、In.の列の鉛筆マークで示されます。慣れないうちはつい忘れがちですが、常に書き込んでいるレイヤ(カレントレイヤといいます)を意識するようにしましょう。

「レイヤ」は実際の透明シートとは違って、完全に透明な概念なので基本的には前後関係は気にしなくても構いません。(他の要素が重なって隠れているものを見えるようにしたい場合は、要素を選択した後、右クリックで「順序」→「前面へ」等で変更できます。)また、何十枚重ねても、触る(要素を選択)ことができるので、移動や消去することもできます。

リフィルなどを作製する場合は、例えば「日付け」を別のレイヤにしておけば、ラインをコピーして日付けだけ変更すればいくらでも別の日にちのリフィルが作れるので便利です。

★重要

ただし、このソフトの欠点の一つなのですが、注意しないといけないのはレイヤが非表示にされていても「範囲選択」のコマンドで、要素が勝手に選択されてしまうということです。

どういうことかというと、チューリップの要素だけを全部消すとしましょう。
通常は一つ一つの要素を選ぶのは大変なので、「範囲選択」をするためにクリック、ドラッグで消したい範囲を一度に指定します。
このとき、植木鉢や蝶を非表示にしておいても選択範囲に入っていると、一緒に消去されてしまいます。
これは「移動」などのときも同様なので注意が必要です。なので、消去したくない場合や選択したくない場合は「鍵のマーク(ロック)」をクリックして、「選択(変更)不可」にしておかなければなりません。やや不便ですが、非表示にした場合は同時にロックも掛けるようにしておいた方がよいでしょう。


※設定→CAD設定→「非表示レイヤを選択しない。」で非選択の設定ができます。


では、実際に描いてみましょう。

今回はまだソフトに慣れていないということで、まずは線の色は「レイヤ色」を使っていきます。
つまり、レイヤ0ならレイヤ0に描いた図は全部同じ色になるということです。後からいくらでも変えられます。

ただ、今回「補助」としたレイヤ0のデフォルトの色が黒なのでこのままでは少し紛らわしくなります。そこで、レイヤ設定欄の「色」の列をクリックして色を変えていきます。ここでは「補助」を黄緑、「穴」を水色、「線」を黒、文字を「青」にしてみました。

070524c.jpg


また、ツールバーの「その他」の下にある色の設定欄が「レイヤ色」になっていることを確認してください。

070524d.jpg


補助線を引く

まず、A5のリフィルを作製するための基本的な補助線を引いておきます。1度作っておけば他のリフィルを作るのにも使えるので便利です。

1.カレントのレイヤ(レイヤ設定欄の「鉛筆マーク」)を「補助」レイヤにしておきます。

2.では、まず基準となる中心線を引きましょう。
左側のメニューバーから【直線】をクリックします。(小さな黒い三角形のあるメニューでは長押しすることによって複数のサブメニューを選択することができます。サブメニューはツールバーにも表示されるので後からでも選択できます。)

3.取りあえず、図面用紙の外側のどこか空いているところをクリックし、マウスを下に移動して垂線を引きます。このとき、真下へ引くためには「Shift」ボタンを押しながらカーソルを移動させます。[Shift」ボタンを押すと45°ごとの線しか引けなくなるので基準を出すのに便利です。

4.同様に今引いた垂線の真中あたりにクロスするように、水平線を引きます。

◎このCADでは設定された用紙の枠の中に描くと線がやや紛らわしいので、枠の外に描き始めましょう。
畳ぐらいある大きな紙に描くイメージで、どこでも自由に使いましょう。後で印刷をするときにはじめて用紙の枠内に移動させればいいのです。ですので、一つの図面タイトルの中に複数の図面を描くこともできます。


5.次にA5用紙の外形を描きます。
左側のメニューバーから【矩形】(くけい=長方形のこと)をクリックします。
ここでキーボードの「F2」ボタンを押すとツールバーの下側にW(幅)とH(高さ)を数値で入力する窓が使えるようにな
ります。(1回目のクリック後でも可)
W欄にA5サイズの外形である149(mm)、H欄に210(mm)を入力します。
カーソルに赤い長方形が付いてきますね。これは長方形の大きさは決まったけれど、記入する位置が決まっていないことを示しています。
ここで右クリックすると「基準位置」が設定できるので「中心」を選びます。

070524e.jpg


そのまま先ほど描いた中心線の交点付近にカーソルを近づけると、赤いx印が交点に「スナップ(吸着)」して正確に位置決めすることができます。交点にx印がスナップしたらクリックして記入を確定します。

070524f.jpg


◎「スナップ」しない場合は右上の「ALL [SPACE]」のバーをクリックしてスナップのオン/オフを切り替えられます。(SPACEキーを押しても切り替わりますが、文字設定が半角の場合だけです。また、数値入力ボックスにカーソルがある場合はSPACEキーを押すと入力した数字が消えてしまうのでご注意ください。)

070524g.jpg


◎間違った線を選択してしまった場合は何もないところを右クリック(メニューによっては左クリック)で解除できます。
◎作業を失敗したときは左上の【元に戻す】で一つずつ前の状態に戻れます。
◎画面の拡大縮小はツールバーの虫眼鏡のマークをクリックするか、マウスのホイールで行います。
また、ホイールを押し下げたまま画面をドラッグすると画面全体が付いてくるので自由に動かすことができます。
  
5.外形に対して中心線が短かったり長かったりした場合は、メニューの【伸縮】を使います。
カーソルを中心線の端に持っていくと赤い□が現れるのでクリックすると線を伸ばしたり短くしたりすることができます。このメニューで中心線を適当な長さにしておきます。

(参考:【伸縮】メニューは今描いた外形の矩形には適用できません。これは【矩形】の図形が1本1本のラインではなく、四角形全体として繋がった情報を保持しているからです。これを「ポリライン属性」といいます。
AR CADではポリライン属性を持った閉じた図形のみ、内側を塗りつぶすことができます。塗りつぶしができるのは「曲線」(記入時のみ)、「矩形(多角形)」、「円」、「文字」だけです。(ヘルプでは「円弧」も含まれていますが、できないようです。)
これらの図形では記入時にツールバーの数値入力ボックスの横に「パターン」を選択できる窓が現れます。ここは通常は「塗りつぶしなし」になっていますが、単一色での塗りつぶしやハッチング(斜線など)、グラデーションなどを選ぶことができます。また、曲線以外は後からでも設定できます。

自由に書いた図形をポリライン化して色を塗れるとすばらしいのですが、残念ながらできません。何度か要望を出したのですが・・・。どうしてもしたければ現状では他のドローソフトに読み込ませて処理するしかないようです。

また、「文字」以外は左クリック→右クリック→分解【線分化】でポリライン属性を破棄し、線分の集合にすることができます。ただし、一度分解すると再びポリライン化することはできません。)

今回はここまでにします。

左上の【ファイル】から「名前をつけて保存」を選び、適当な名前をつけて好きな場所に保存しておいてください。
ここでは仮に「A5リフィル01」としておきます。拡張子はAR CADの標準形式の.sgdのままにしておいてください。

070524h.jpg



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