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本:「天水」

前回、徳島のエントリで「天水」という言葉が出たので「天水」つながりで。

といっても、今回はマンガ。ご存知、奇才、花輪和一の不思議なお話。

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ここでの「天水」とは河童の頭のお皿の水のことです。河童のお皿の水は大きな池になっており、この世とあちらの世界を繋ぐ水路のようになっています。


お話は、まだ、妖怪と人間が同じところに住んでいた平安時代のころ。男の子のような童女と、奇妙な術を使う河童さんが、お互いに助け合いながら、妖怪や悪党に立ち向かっていくというもの。のほほんとしたムードと恐ろしい雰囲気が渾然一体となった和風ファンタジー。といっても、お気楽なアドベンチャーものではなく、人の業に深く切り込んでいくような一筋縄ではいかない物語なのです。


激しい夕立の中、童女がウリを運んでいます。雨宿りしていると小さな河童が現れ、

「ああっいいウリ」「すごく好き、すごく好き」

といいながら、ウリに抱きつき、そのまま池に消えてしまいます。
童女が

「ああっ・・・へんなやつにウリを1個とられてしまった」

と嘆きながらどうにかこうにか帰宅するとなぜか河童さんが着いてきます。それが縁で二人は意気投合し一緒に旅をすることに。

童女は生き別れたお母さんをさがし、河童さんは仙人をさがす旅です。二人は魔物どもに魅入られるようにいろいろとひどい目に遭いますが、なんとか知恵と勇気で切り抜けていきます。しかしながら作者は、勧善懲悪の単純な図式で悪を相対化するのではなく、主人公たちに、自らの内側に潜む宿業とでもいうようなものから目を背けないということを求めていきます。

それにしても、不思議で、のほほんとして、そしてとても怖いマンガです。気持ちの弱っているときにはあまりおすすめできません(笑)。


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