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キッズデザイン博2007(前編)

キッズデザイン博2007(前編)

8月9日~11日、TEPIA(港区北青山)で開催された「キッズデザイン博2007」に行ってきた。

キッズデザイン賞とは

『キッズデザイン賞は、子どもの安全・安心の向上、健やかな成長発達に役立つデザイン(製品、コンテンツ、活動、リサーチなど)を顕彰し、表彰作品に“キッズデザインマーク”を付与するものです。

産官学民が“デザイン”の力を通じて生み出した、子どもたちのための成果について、社会的、文化的な価値の見地から公正な評価を与え、その優れたものの顕彰を通じて、産業・研究活動と子ども環境の高度化を図ることを目的としています。』(KIDS DESIGN AWARDのHPより一部抜粋)

とのこと。詳細は上記HP他参照のこと。

キッズデザイン協議会 

「キッズデザイン賞」の創設について(経済産業省HP)


さて、キッズデザイン協議会の「設立趣意」には次のようにあります。

『次世代を担う子ども達のためにはじめる、新しいムーブメント…

 次世代育成支援や少子化対策の気運が叫ばれるなか、子どもや保護者・教育者が安全安心に生活できる環境を産官学民が一体となって創出することが求められています。また、こうしたテーマに取り組むことが、企業の社会的責任(CSR)ととらえる企業も数多く台頭してきました。

 このような情勢を背景に、子どもの安全安心の向上、健やかな成長発達が見込まれる社会づくりを目指し、企業・団体が自主的に業種を超えて集い合う、キッズデザイン協議会を設立いたしました。(一部抜粋)』

ま、字面を読む分には、高尚な理念でケチの付けようもないのだが。。

しかし、一般的な企業のお盆休み前にたった3日間で「キッズデザイン『博』」ときたもんだ。なーんか、大して力、入ってないんですよ、会場は。結局は少子化とか子供をネタにデザイン絡めて、ちょいと経済振興でも、ってことですね。

会場はほとんどパネル展示がメイン。もうそこら辺りが中途半端なんですよ。せめて自由研究ネタさがしに来た親子連れが遊んでいけるぐらいの触れる展示をしろ、と。親子連れを入れてプレス関係が写して、その日のニュースでも流していたが、こういうのなんて言うんですか、お手盛り?自慰行為?

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こういうパネル展示がメインを占める。せっかくのすばらしい「ビオトープ」の実践が伝わりにくい。



ま、それでも頑張っている現場の雰囲気はかろうじて感じられたが・・・つまり、業界やデザインを学んでいる学生などには多少は役に立ちそう。親子連れが遊びながら学ぶには、いかにもお座なりだし、気の抜けたようなワークショップもお仕着せ感が漂っていた。
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だいたいでんな、事故のデータ収集とかなんとかいいながら、情報持っているはずの、おもちゃ業界としてはセガ以外参加していない。バンダイやタカラ・トミーが一番情報を蓄積しているわけでしょうが。ま、おもちゃ業界としても業界団体として自主的に頑張ってきた「STマーク」の他にあとから経産省の肝いりで「KDマーク」とか言われても面白くないだろう。


子供の事故なんて昔からあるわけで、公園の遊具で死亡したり、プールの排水溝に嵌って溺れたりなんて、今さらのことではない。最近ではシュレッダーで指を切断した話も耳に新しいが、そういう容易ならぬ事態のデータの開示もない。ホームページを読んでもデータの活用についてはなーんも記述がない。文句ばかりいうようだが、私の言いたいのはこういうシリアスな事象については、NPO法人がようやく子供の安全に目を開きました!ってスタンスではなく、「工業規格」として国が責任を持って法律的にもっと安全性を徹底すべきなんじゃないか、ということ。業界の自主規格でええんかい?

アメリカなどではかなり厳しい法制度があったはず。ロケットみたいに飛び出す仕掛けのあるおもちゃはエネルギーが何ジュールとかまで決められていて、ラビットアイテストというものまであった。残酷なようだが、ウサギの目におもちゃのミサイルなどを当てて、角膜に対する影響を判定するのだ。つまり超リアリティを持って規格が制定・運用されている。

日本は訴訟大国でもないし、ほんとに子供の安全は文字通り自己責任という放置状態ということか。もちろん、だからと言って何でもかんでも親がお膳立てするしかない、ということではないけど。親も大変だと思うが、最近は車のCMなどを見ても親子のベタベタ感を演出するやり方は気持ち悪いほど。

キッズデザイン博を見ていても、なんか、手取り足取り、お子様にお金を懸けていただきますように、という企業のもみ手が透けて見えて居心地の悪さを感じたのだが・・・。

私が子供のころは大人と子供の境界は厳然としてあった。だからこそ、大人の世界に憧れもしたのだ。今の濃厚な親子関係、大人が友達のように子供と付き合い、ヘタすりゃ、タメ口、オマエ呼ばわりされて同じ目線でものを見ている気になって喜んでいる。ああ、気持ち悪い。

指を切らないハサミだ?手を挟まない鉛筆削り?アホかと。私ら、みんな子供のころ、大工用のカンナで鰹節を削らされていたもんだ。そりゃ、ヘタすりゃ半端じゃない怪我もした。でもね、大人はそれをいろんな意味で許容する度量があった。どこの家でもケンカや事故でのケガなんかでもね、大ゴトにすることはなかった。なんというか子供がケガすることに対して胆が座っていた。

そりゃ、今と昔じゃ時代も違うでしょう、子供を持つ苦労も知らんさ。もちろん、危険な製品があっていいというわけではない。デザインでできることもたくさんあるだろう。しかし、いつの時代でも刃物を使えば怪我もするし、金槌で指を叩けば痛いわけですよ。傷みを自らの身体や心に刻み込むことは、そんなに悪いことなんだろうか。

製品の構造的な欠陥と、製品の持つ機能の危険性は全くの別の事象なのだ。

次回、具体的な展示について。




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