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図鑑が好きなのだ 4

「小学館の図鑑 NEO(ネオ)」


近年刊行された図鑑でお薦めのものは「小学館の図鑑 NEO(ネオ)」シリーズだ。

NEOは「学習百科図鑑」に続く、小学館30年ぶりの新シリーズ図鑑。
2002年より、小学館創立80周年記念として刊行された。 現在、第1期・16巻が定価各2,100円(税込み)で発売されている。

「NEO」とは、Nature・・・自然と生物、Earth・・・地球と宇宙の、Origin・・・起源をたずねて、未来を考える新しい図鑑とのこと。

書店でいくつかを見た感想だが、内容は非常に充実している。前シリーズが細密画中心だったのに比べ、写真が中心となり、情報密度も上がって洗練された印象。同様のボリュームの「21世紀こども百科」が5,000円クラスの価格であることを考えれば、これだけの情報量でこの価格はリーズナブルとさえ言えるのでは。

例えばシリーズ中、「カブトムシ クワガタムシ」は1冊まるまる甲虫だけで占められており、約1,100種が実物大で掲載されている。これはすごい。学術書にも匹敵するんじゃないだろうか。カブトムシやクワガタ好きの子供にはたまらない内容だ。

私が購入した「昆虫」を紹介しよう。

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チョウ目の「シジミチョウのなかま」の項では4頁に渡り、シジミチョウがぎっしりと掲載されていて実に見事だ。

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昔のものに比べ、写真が増えたのは、ITが発達したおかげで情報や付随する権利関係の収集・管理が昔とは比較にならないほど容易になったということだろう。

昔の図鑑の細密画も捨てがたい味わいがあるが、甲虫などの金属光沢の表現ではやはり写真に一歩譲るのは致し方ないところか。

ただし、絵画表現にも利点はあった。写真とは違って、対象の最も一般的な模様やポーズを自由に表現できるということである。写真の場合は時として個体差のブレがそのまま出る場合がある。鳥や昆虫などは成長過程や環境条件によって表現型が微妙に異なるものである。

例を挙げてみよう。

これは私が撮った「ウンモンスズメ」という蛾の写真だ。(虫嫌いの人はスルーしてください。)

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この見事な迷彩仕様?のステルス戦闘機(笑)をはじめて目の当たりにしたときは驚いたものだ。たしか横幅50mmぐらいの大きさなやつだった。
これを「NEO」の「昆虫」で見てみると・・・

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なんか、ちがーう・・・おそらく名前を知らない状態であれば、この黒褐色の写真では同定できなかっただろう。(写真の斜めのラインはデジカメで撮ったときにできた網点干渉モアレで、実際には無い。)

一方、旧シリーズの「小学館の学習百科図鑑」では・・・

071101e.jpg


この絵のイメージの方がずっと私が撮った写真に近いかと思う。


いずれにせよ、当たり前だが図鑑は完璧ではない。特に昆虫など、1冊の書物に載せきれないほど多様な種類がいるわけだし。

もう1例、私が撮った蛾の写真。

071101f.jpg


なんか知らないが、基盤のように走ったラインがこれまたオサレじゃないか。私自身、実を言うとあまり虫さんは得意ではない。しかし、こんなデザインの多様性がおもしろいと思うのだ。

さて、この蛾はどちらの図鑑にも載っていなかった。そこでイメージの近いものを図鑑で探してみる。幅20mmぐらいの小さなヤツで、「しゃちほこが」と「しゃくが」が近いようだ。

写真を見ると尻尾を上げているので「しゃちほこ」かと思ったが、「しゃちほこが」は幼虫のときに名古屋城のしゃちほこのように身体を反らす特徴から来ているようだ。「しゃくが」というのはこれまた幼虫のときにいわゆる「尺取り虫」のような歩き方をする種類らしい。

で、あとはインターネットである。ほどなく、「ナミガタシロナミシャク」という蛾がヒットした。ほんとにすごい時代だ。知らない虫を見つけてもなんとか名前までたどり着くことができるのだ。

世に虫好き、鳥好きは数多いるのでネット上のデータはこれからも止まるところを知らず充実していくことだろう。

もちろん、中には正確でないものもあるかもしれないが。そこはそれ、多くのデータを検索するなどして情報の精度を上げることも今の時代、利用者の「情報リテラシー」として必要となってくるわけだ。
これはある意味、それまでの紙の図鑑の正当性が監修者の権威だけに支えられていたことと比べれば、より積極的な情報への関わり方としてむしろ正しい方向だと言えるかもしれない。(「権威」を疑えとか、大勢が言っているから正しい、ということを言いたいわけではないんですよ・・・念のため。自分が得心できる情報を手に入れることへの自分の立ち位置に常に「検証的」であることがネット社会では特に必要なんだろうと・・・。)


この図鑑は重たいので確かにフィールドワークには向かない。いずれ、電子手帳のような形態で何十冊もの図鑑がフルカラーで収められたガジェットが出てほしい。防水、耐震仕様で。
しかしながら子供から大人までが利用し楽しめる図鑑として、本シリーズは出色だと思う次第。


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