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手帳考2

前回、私は手帳の本質を「物」としての「形態」の点から「手のひらサイズの帳面(紙の束が綴じられたもの)」であると位置づけました。また「ポケット」や「手」という言葉の含意から、いつも「手元」に置ける、即ち「持ち運びの容易な帳面」とう意味も見いだしました。

原点は当たり前すぎるほど「文字通り」の話なのですが、大判のシステム手帳などもたくさん出回っている今では、人々が「手帳」に求める意味合いは、物としての側面からだけでは語れないようです。

そこで次に手帳の要件を記入される内容面から探ってみたいと思います。


2.内容  手帳に何を書くか、どう使うのか


前述したように「手帳」とは「手のひらサイズの、あるいは持ち運びの容易な帳面」ということで、物としての形態から発した名称のようですが、さらにそこに小さな「メモ帳」などとの違いを見いだしていくとしたらどういうことが言えるでしょうか。


ここでもう一度「手帳」を意味する英単語を英辞郎などで見てみましょう。

いくつかのキーとなるワードを拾い上げてみます。

adversaria → 覚書、メモ、手帳、備忘録、雑録
appointment organizer  → appointment (人と会う)約束、取り決め、予約
organizerにはそれこそ「システム手帳」という意味で使われていますが、もともとは形作るもの、 主催者、組織者、まとめ役、事務局などという意味があるようです。

personal day planner → 訳するまでもなく、手帳の意味合いをストレートに示していますね。

この他、Quovadis などの手帳では、AGENDA PLANNING DIARY などという名称が見られます。このあたりからは、検討課題、議事日程、計画、日記などという意味合いが見て取れます。


これらを参考に分類してみると、

1.メモ(覚え書き、備忘録、雑録など)→主に過去にフォーカスする記録

2.予定表(スケジュール、検討課題、TO-DOなど)→主に未来にフォーカスする記録

3.日記→過去にフォーカスする「個人的」記録

4.資料(住所録、地図、度量衡換算表など)→時間の流れとはとりあえずリンクしない記録

などが手帳に記入される主なものであるようです。(4.の資料として必要なものは人によっても異なるので必ずしも手帳の要素として入れなくてもいいかもしれません。「手書きや個人によるプリント」か「大量生産の印刷物」かという分け方もあるでしょう。)


このうち、白紙のメモ帳やノートでは明らかに記入することが不便である項目は、2.の「予定表」、即ち、日々の歴(カレンダー)と密接に関連した項目でしょう。手帳に一々自分で曜日や日付を振るとしたら、面倒くさくて使っていられません。
他の項目は単なる「メモ帳」でも代用できます。

このことから「手帳」に単なる「持ち運びに便利な帳面」以上の意味づけを与えている最低限の条件は、「日付け機能があること」である、といえるかと思います。


つまり、もう一度くどい言い方をすれば、筆記具としての「手帳」の要件は「持ち運びの容易な紙の束が綴じられたものであって、日付が記載されているもの」と言えるでしょう。なんだか特許の願書を書いているようですが(笑)。


さて、この要件に沿って、以前、私は究極のミニマムな手帳をデザインしたことがあります。

それは「単語帳」サイズの手帳です。小さなペンを付け、「速書性」も重視しました。システム手帳風にいえば「1穴」システムの1日1葉フォーマットです(笑)。

071203a.jpg


これは携帯電話より小さいので常にズボンのポケットでもどこでも忍ばせておくことができる上、日々のTO-DOリストの記入や、いわゆる「3行日記」、「即メモ」として、かなり使い勝手がいいと自負しています。ただ、連続したスケジュールを確認する「一覧性」と言う点ではやや弱点があります。
まあ、完璧な手帳など存在しないし、と言い訳しつつも、ミニマムな手帳フォームの実験としては意義あるデザインではないかと思っています。「ほぼ日手帳」の超小型版と言えるかもしれません。
(エントリ「即メモ」をご参照ください)

このように、日付機能さえあれば、単語帳でさえ、手帳としての役割を果たせるのです。



ここでもう一度、前述した4つの項目を見てください。ここで気付くことは、どの項目も「記録」であるということです。

あまりにも当たり前すぎて何を言おうとしているのか、ピンとこないかもしれません。

つまり、基本的に手帳というものに記入される内容は、「過去の忘れてはいけない項目」か「未来の忘れてはいけない項目」だけだということです。(もっとも、誤解を恐れずにいうと、基本的に何を手帳に記入したとしても、「いずれは、見返した時点より過去にフォーカスする記録になってしまう」ということがいえるでしょう。)前回のエントリの補足にあったように大辞林の手帳の説明に「手控え」とある所以です。

いずれにせよ、「手帳」は記憶の保管庫としての役割しかしていないわけです。再度、あの特許出願書のような文章に付け加えるとすれば、

→筆記具としての「手帳」の要件とは「持ち運びの容易な紙の束が綴じられたものであって、日付が記載されているものであり、記録が記入されるもの」となるでしょうか。

(ここまで、従来の「手帳」の位置づけを再確認してきました。次回は筆記用具としての可能性を探ります。長くなるので一旦ここで切ります。)




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4件のコメント

[C188]

お久しぶりでございます。
とても勉強になります。
連載楽しみにしています。
  • 2007-12-05
  • morotaro
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  • 編集

[C189]

こんにちは。
短時間で勢いにまかせて書き殴った拙劣な文章で、偉そうに公開するのも恥ずかしいのですが(汗)、「覚書」ということでUPしております。
論理的な破綻も多々あるかと思います。また御教示御鞭撻くださいませ。
  • 2007-12-05
  • horirium
  • URL
  • 編集

[C194] はじめまして

か…わいいですね!!
携帯性抜群、というか最高?
ちょっと使ってみたくなりました。
  • 2007-12-23
  • 通りすがりのN
  • URL
  • 編集

[C195] Re:はじめまして

はじめまして。
ご覧いただきありがとうございます。
以前、データを公開しようかと思ったのですが、365枚を自分でカットするのはとんでもなく大変だったので(誰も作らないだとうと思って)止めた経緯があります。
簡易版をHPに載せていますが・・・そういや、来年分にデータを変更していなかった(汗)
すぐに変更しまーす。
  • 2007-12-23
  • horirium
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