お絵かきソフトと言えば、高価なCorel Painter、あるいは紹介済みのPIXIA、PictBearなどが定番でした。
ところが最近は前回紹介したmdiappなど、新機軸のデジ絵用ソフトの分野がホットなようです。というのも、長年、開発版として公開され、ユーザーのフィードバックを受けながらバージョンアップを重ねたソフトがこのところ次々とシェアウェアとして製品化されているからです。
これらのソフトは「油絵風」の描画などあまり大層なブラシは持たない替わりに、描画のスムーズさに重点を置いていて、(マンガ風)イラストに特化しているところに特徴があります。また、価格も1万円以下で非常にコストパフォーマンスが高いと思います。
とにかくラインがスムーズで気持ちよく描画できるソフトが多く、素人の私でさえ、ついついマンガを描きたくなってしまいます。
ラインのスムーズさとは、例えば、最近のフォトショは持っていないので、それと遜色無いと言われるフリーソフトのGIMPを使うと・・・

このようにマーカーの透明性はいい感じですが、線描をしたときにはジャギーというかジッターというか、線にノイズがかぶったりします。あるいはストロークの補正がないので、線のヘタクソさがまるわかりです(汗)。
また、Painterの場合は・・・

これはすべて「フェルトペン」という設定で描いたのですが、線描は設定によってはノイズが乗ります(下の螺旋)。一番上のように素直なストロークになる設定を見つけるまでがたいへん。フェルトペンのブラシだけでも17種類もあり、それに対してそれぞれ調整項目が6箇所もあります。例えばブラシ設定によっては・・・

上の鮮やかな黄色から黒っぽい色まで、実はパレットのカラーは皆同じ色なのです!つまりブラシの設定によってこれだけ色合いまでも影響してきます・・・。私だと、これでは直感的には把握しかねます。あまりにも何でもできるソフトだと、かえってその設定に習熟するだけでも大変です。
マーカースケッチは絵そのものの上手さも大切かもしれませんが、あくまでも最終的なプロダクトのデザインを検討するための手段であるということは外せません。そのためには直感的に気持ちよく描画できる(ソフトの設定云々を忘れてしまうぐらいの)ソフトであるに越したことはありません。
SAIというわけで、今回はそんな新世代デジ絵ソフトの中から今年の2月に製品版がリリースされたばかりのSAIでマーカースケッチしてみます。
このソフトは開発版時代から描き味の絶妙さに定評があってファンの多いソフトです。
まずはお試し版を実際に使ってみてください。あまりの描き味のよさに驚くことでしょう。

落書きが止まらなくなります(笑)。画用紙のテクスチャも適用できます。
まず、特筆すべきは「手ブレ補正機能」でしょう。23段階もの手ブレ補正機能があります。さすがに補正段階を高くするとペンタブへの追従性がどんどん重くなるのですが、mdiappの場合のようにタイムラグがあって一度に補正がかかるわけではないので、絵を描いている感覚からははずれません。
レベルの低い補正でも充分です。まるで自分の技量がアップしたかのような錯覚さえ覚えます(笑)。マーカースケッチの難関のひとつは楕円の描画ですが、ソフトがかなり助けてくれるかもしれません。
ところがSAIでマーカースケッチ風な描画を試みたところ、ストロークの気持ちよさとは裏腹に、なぜかマーカーの色乗りがうまくいきませんでした。いろいろ弄って分かったのですが、デフォルトでは筆圧の濃度への反応が今ひとつです。実はブラシ設定の下に「詳細設定」という項目がありました。ここで細かい調整をするとかなり快適にスケッチができるようになりました。

お試し期間を利用して自分の筆圧等に合うか、十分にご確認ください。
SAIにはこれ以外に「ペン入れレイヤー」を作ることによって、後から制御点を調整できる、ベクターモードの線を描くことができます。これはユーザーの好みによるかと思います。個人的にはマーカースケッチするなら、ペイント形式での直線等のコマンドが欲しいところです。
photoshop形式(.psd)でも保存できるので、他のソフトに持っていっての利用も可。キャンバスの回転も楽々。
※ソフトの利用は自己責任でお願いいたします。
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