近所の図書館に、ソフトバンク クリエイティブ株式会社の
「サイエンス・アイ新書」が複数入庫されていたのでまとめて借りてみた。

「サイエンス・アイ新書」は昨年あたりから新しく刊行された、理数系の新書だ。これまでの理数系の新書といえば、講談社の
「ブルーバックス」ぐらいしか思い浮かばない。
「ブルーバックス」は老舗だけあって、見るからにお堅い内容でほとんどがテキスト中心だった。
それに比べて「サイエンス・アイ新書」は全体的な見た目の印象は非常に柔らかく、見開きの半分を「図解」で表す構成となっている。しかも今回取り上げた中では「科学的に説明する技術」以外はフルカラーだ。これは大いに意欲的な構成で拍手を送りたい。
そもそも新書形式であるからには、極端に専門的な内容を説明するというよりも、広い読者層に向けてまず手にとって貰い、コンテンツを分かりやすく伝えるという必要があると思う。
その意味でも図解を多用するというというのは理にかなっているし、また、テキストだけで説明するよりもずっと理解の手助けになるだろう。
「図鑑」ではないけれど、「図鑑好き」は取りも直さず「図解好き」ということなので、これから注目したいシリーズなのだ。
さて、とは言え、まとめて見てみると、まだ刊行して間もないせいか、問題点も見えてきた。
せかっくの図解をうまく使えていないものも見受けられたのだ。
「科学的に説明する技術」
辛口になって申し訳ないが、この本の図解は図にして説明する意味があまりない、というかほとんどテキストを無理矢理に図にしたものばかりで意味が通じにくい。

第一章で「科学マインドを理解する」ためにいくつかの例題を出して、「論証基本フォーム」なる手法で解いていくという形式を取るのだが、これが私には全くといっていいほど意味不明だった。まず、最初の例題からして肯首できなかった。朝日新聞の「外来語 乱用避ける日本語教育を」という記事で、『外来語の乱用が日本人の思想表現をいい加減なものにしており、“純正の”日本語できちんと考える術を身につけることが大事である。』という内容だ。朝日らしいといえば朝日らしいが、30年ぐらい前の記事かと思いきや、2003年の記事だというのだから驚く。
私は別段に「嫌朝日」ではないが、論理的に納得できない記事の論証構造を正論として検討するのは苦痛以外の何ものでもなかった。(論理的な欠点を抽出する例題ならまだいいのだが。)
この最初の問題に2時間ほどかけて、「科学的に説明する技術」の筆者の説明に沿ってはみたが、納得できなかったのでこの本を読むことは止めた。私がバカなのか、筆者に「科学的に説明する技術」が欠けているのか悩んでいるところだ(笑)。
「人に教えたくなる数学」
この本は図形の問題を中心にしており、図は必ずしも上手とは言えないが(図形の説明図にフリーハンドっぽい線を使うのは止めてほしいなあ)、当然ながら図と解説はマッチしている。同工の本はブルーバックスでも見受けられる。

「数字のウソを見抜く」
一方同じ数学系の本でもこちらの図はひどい・・・いや、そもそも図の体裁を成していない。

ほとんどこのように手書き風のフォントで数式などが並べられていて、申し訳程度に人物の挿絵(それも使い回し)が描かれているだけ。ま、マンガがあるだけでも見た目柔らかい雰囲気が出るので、前述した目的の半分にはかなっているのかもしれないが・・・。理解の手助けになるかといえば疑問。
これだけだと辛口の評価ばかりのようだが、「図解でわかるプラスチック」などは写真も多く、図も分かりやすく好感が持てる。
今回、一番良かったのは「英語が苦手なヒトのためのNASAハンドブック」だ。
この本はタイトル通り、NASAの膨大な情報量のサイトを閲覧するときに英語が苦手でも必要な情報にアクセスしたり、映像を楽しむためのガイドブックであり、ほぼ全ページに精細なカラー写真が掲載されている。

これで他書と値段は変わらないからお得。宇宙好きでタイトル通り英語があまり得意でないならまず必携の書だろう。
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