先日、
「紙は何回折れるか」というエントリを書いた。
この中で紙の束ね方について3種類を挙げた。
1.巻く
2.折る(畳む)
3.綴じる(とじる)この方式を紙に書かれた情報へのアクセスの観点から見ると、
1.の「巻く」は途中とか最後に書いてある情報を見たくても、常に最初からほどいていかないといけない。いわば
「リニア」にしか情報にアクセスできない方式だといえる。
これに対し、3.の「綴じる」やり方はもちろん、どこのページでも直接開いて見ることができるので、いわば
「ノンリニア」な情報アクセスが可能だ。
では、2.の「折る」はどうか。
前回のエントリの「折る」という方式は基本的に「直交方向での交互折り」で半分に折っていくやり方だ。
この場合は何回も折った場合(といっても動画のように7~11回が限界なわけだが)、中の方に書いてある情報を見るためには、やはり折られたページを最初から開いていかないといけない。つまりこれもリニア方式である。
これに対し、超整理手帳などのようにジャバラ折りになっている場合は、途中でも後ろの方でもどこでも開くことができるので、「綴じる」と同じくノンリニアなアクセスが可能となる。また、当然ながら各折り目はそれぞれが1回折りなので折り回数に制限はない。(書物全体の厚みは増していくが)
つまり「折る」という方式は1.と3.の中間の方式といえるのではないだろうか。
これ以外にも、1.と3.は紙を切断して製本する手間がない代わりに、紙の裏表の情報に自由にアクセスすることは困難で、紙全体をひっくり返したりする手間がかかる。開いたときに一覧性に優れる。
2.は紙をカットして製本する必要があるが、紙の裏表の情報にアクセスすることが容易ではある。その代わりに全体の一覧性に劣る、などの特徴がある。
さて、ここらで表題のテーマに移ろう。
「ジャバラ(蛇腹)折り」とは「経文折り」とも言われるように、一般的には一次方向のみに山、谷に交互に折っていく方式を指す。
しかしながら実は2次方向、つまり平面的な広がりを持つジャバラ折りが存在する。その代表が日本が誇る
「ミウラ折り」だ。
「ミウラ折り」とは宇宙構造工学の権威、三浦教授がロケットの破壊パターンから考案した平面折り畳み構造である。宇宙ステーションの太陽光パネル等の構造への応用が研究されたり、身近なところでは地図や車のサンシェードなどに使われている。正式名称は「二重波型可展曲面」ということだ。
偶然、つい先日、NHKで紹介されていたのでご覧になった方も多いだろう。
FILE099:「未知なるカタチとの遭遇」(NHK 爆笑問題のニッポンの教養)
その他、参考サイトとして・・・
ミウラ折り(Wikipedia)
ミウラ折り公式サイトまた、ミウラ折りでメモ用紙を自作しようというサイトがある。
「ミウラ折り」のメモ用紙を作ろうしかし、実際にやってみると分かるが、ジグザグの線を綺麗に折るのは非常にむずかしい。
さて、右側がミウラ折りのサンプル。(左側は後述する「Z-CARD」) ほぼA7の大きさで表と裏表紙に厚紙が貼ってあり、引っぱりやすいようになっている。

引っぱるとまず前後(この写真では上下)に伸び・・・


自動的にぱっと展開する。これは交互に半分に折られた紙を開くのにくらべ、エネルギーの効率がいいらしい。開いたサイズはA2だ。おもしろいのだが、メモ帳などとして自作するには実に大変だ。
そこで、もう少し簡単に作れそうなものがないかと探したら、単純に直交する線で折った
「Z-CARD」なるものがあった。(最初の写真の左側) ダイゴー(株)から出ていたスケジュール帳だ。(「Z-CALENDAR」あるいは「Z・フォーマット」という名称。現在は絶版)
これも同様にA7サイズで、裏表の表紙に厚紙が貼ってあり、前後に引っぱるとまず縦の折り目が解けた後・・・

自然に展開する。


こちらの展開後のサイズはA3。表が路線図で裏がスケジュール帳になっている。こちらの方がなぜ小さいかというと、ご覧の通り、折り数が少ないからだが・・・
折ったところを側面から見てみると・・・
ミウラ折り

折り目に角度が付いているので折り目の重なりが少しずつズレるようになっている。このため、折り数を増やしても折った後の収まりがいい。
これに対して
「Z-CARD」

原理的に折り目が同じ位置に来るので、前述の「紙は何回折れるか」の制約を受けるわけだ。この製品では非常に薄くて張りのある紙を使っている。材質を吟味することで、実用レベルでの折り合いを付けた製品と言えそうだ。こちらにもA2サイズの製品はあるが、折り畳んだときのフットプリント自体が大きくなっている。やはり「Z」というだけに原理的に多段折りはむずかしいようだ。
Official Z-CARD Websiteさて、「ミウラ折り」も「Z-CARD」も登録商標となっており、折り方自体は特許等の対象にはならないのだが、それを作製する機械や、出来上がった製品はパテントの対象となる。もちろん、個人で楽しむ自作なら問題ないが、名称等の使用には多少の注意が必要だろう。
長くなったので、次回、「Z-CARD」の折り方を改良した、(一応「Z-折り」という名称に変えて)自作スケジュール帳を紹介する。
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