遅まきながら、湊かなえ著「告白」を読む。

書評家の豊崎由美氏によれば、「告白」以降、読後感が「いやな気分」になるミステリーを「イヤミス」と言うそうな。
中学校の女性教師が最後の授業で、自分の幼い娘の死の真相を、実はこのクラスの生徒に殺されたのだ、と語り出すという衝撃的なイントロで話題となった。
この抜群の「ツカミ」のある第一章「聖職者」は、単独で第29回小説推理新人賞を受賞しており、本書は関係者による後日談五章分を加えてまとめられたもので、こちらは第6回本屋大賞を受賞している。(個人的には「聖職者」の文章構成に小さなミスがあるような気がするのだが・・・)
冷静で緻密な構成、読んでいる間、落とし所を「いい話」にするつもりなのか、「嫌な話」にしたいのか、単純な憶測を許さない展開、デビュー作でこの力量とは恐れ入りやした。
読後感は人それぞれ、ウンザリする人もいれば、カタルシスを得る人もいるだろうけれど、共通して何かザラッとしたものが残るに違いない。
たまたまラジオで湊かなえ氏ご本人がインタビューで出ておられるのを聞いた。ころころとよく笑う、もう本当にどこにでもいそうなお茶目なお姉さんという感じで、作品とのギャップに驚いた。主婦仕事の合間に少しずつ書きためたということで、やはり才能のなせる技か。
これまでの本屋大賞の例に漏れず、映画化された。6月に公開予定とのこと。主人公役の「松たか子」はイメージにピシャリとはまるね。
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