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犬塚勉展 ―純粋なる静寂―

現在、日本橋高島屋で開催されている『犬塚勉展』を観てきました。


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「多摩に住み、美術教師をしながら、多摩や山の風景を描き続け、38歳で夭逝した画家 犬塚勉没後20年の2009年にNHKの日曜美術館で紹介されると、多くの感動の声が寄せられて注目を集めました。

山に登り、自然と一体になって描いた作品は、スーパーリアリズムともいえる精緻な筆遣い。あるがままの自然に魅せられ、谷川岳で遭難して幕を閉じた彼の人生は、すべて自然を描くことに捧げられたといっても過言ではありません。

本展では、遺された絵画とデッサンなど110余点を一堂に展開。これまで広く知られることのなかった犬塚勉の画業をご紹介いたします。 」(犬塚勉展パンフレットより)


2011.9.7  ~ 2011.9.26 日本橋高島屋8階ホール


「私は自然になりたい 画家・犬塚勉 」日曜美術館 NHK


「犬塚勉絵画展公式ホームページ」



非常にすばらしい展覧会でした。

NHKで取り上げられたときには、写真のような精緻な風景画があまりに印象的だったためか、若い頃の画業があまり取り上げられていなかったかと思います。

今回、初期からの作品が並べられ、全く趣きの異なる絵を描いていたことを知りました。

私見です。
犬塚は若い頃から、情緒的な絵や構成的な絵など様々な画風を試しています。おそらく、どのスタイルで描き続けても一流の画家になったことでしょう。それほど器用というか達者であったのですが、逆に画風が定まらず、苦悩したようです。仏教画などを描くようになったことからもそんな心情が伺えます。

ところが、闘病生活の後、1984年からいわゆるリアリズムの方向に画風が急激に収斂していきます。きっかけとなった「頂A」「頂B」はまだ細部に至るまでの密度は有してはいませんが、それまでの筆の流れを重視した画法がより緻密な方向に向かっているのがよく分かります。

犬塚の絵には「スーパーリアリズム」という評価が付きますが、実物を見ると少し違うように感じます。「スーパーリアリズム」の画家たちは静物を描きこそすれ、決して風景など描こうとは思わないでしょう。スーパーリアリズムでは顕微鏡的な視座を必要とするわけですが、顕微鏡では風景を捕らえられないからです。犬塚の意識は言わば双眼鏡だと思いました。それも被写界深度の深い。

そして見たものを正確に描くというスーパーリアリズムの描法とは異なり、若い頃から続けてきた筆の流れのままに描く描法を手放そうとはしていません。草の一本一本がそこにあるものを正確に写し取ったというよりは、腕の動きそのままの筆致を残しているように見えます。

己の画風を確立することへの喜びからか、87年、88年には凄まじい量の絵を描いています。これだけの密度の絵を年間10作以上も描くなど、まるで亡くなる前の予感によって、命をほとばらせて超新星爆発でも起こしたかのようです。


作風が定まりつつある中に置いても従来の情緒性や画面構成の意識を捨て去っておらず、自然の忠実な写実が目的であったのではないことが分かります。

犬塚の絵には動くものは虫一匹さえ描かれてはいません。(緻密すぎて検証できませんが…)1作の不思議な作品を除いては…動かぬものの中に悠久の時の流れと精神性を見い出したのだと思います。

この展覧会では絵の間近まで近づくこともでき、作者の視座を共有することができるでしょう。圧倒的です。とても良い展覧会でした。





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