『造形工作アイデアノート』 パンタグラフ著

「オトナのための工作本」という副題があるように、工作好きな大人のためにいろいろな工作のヒントを解説した本。
プラモデルではなく、プラスチックや木、樹脂粘土などを使って、オリジナルな造形を楽しむためのヒントが満載。
著者の「パンタグラフ」は井上仁行氏と吉竹伸介氏による造形ユニット。その作品は雑誌や広告でお目にかかったことがある筈。ちょっとヒネッた造形のセンスから、完成度、写真撮影に至るまですばらしいの一言。
「PANTOGRAPH」構成は入門編と実践編に分かれ、最初はスタイロフォームをカッターで削るような基本の基から解説してある。
とは言え、入門編でもすぐに「パソコンで図面作成」などとあっさりCADを使っていたり、作例は単純な形のものばかりなのだが、「スタイロカッター」や「卓上糸ノコ盤」などある程度の工作機械も必然的に登場する。なので、入門編からしてそれなりに敷居は高い。
作者達が造形のプロなので、普段楽しむことを目的にのんびりと造形をしていられない、ということがあるのだろう。この辺り、もう少し、手作業だけで楽しめるような解説があってもよかった。
実践編はこれまでのパンタグラフの作例を中心に造形方法を解説している。
とにかく私は初心者への入門書というよりプロの技や仕事場を惜しみなく見せてくれている点が興味深かった。
こういう本を見ると強烈に造形心が刺激されるのだが、狭い家の中でスプレー塗装をどーしようか、汚したらどうしよう、というような現実を直視すると途端にしおれてしまう。
家の中で樹脂を削って粉だらけにしたら、奥さんに張り倒されるという御仁も多い筈(笑)。ましてや塗装なんて。
つまり、造形とは基本的に「汚れ」との戦いなので、素人こそ、そこら辺を基本とした戦略を考える必要があるわね。趣味としての「室内造形」というのはおもしろいテーマではあるのだけれど。
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- 2012-03-23
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