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本:『秘密基地の作り方』

『秘密基地の作り方』 尾方孝弘著 飛鳥新社



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子供のころ誰もがやったことのある「秘密基地」作りについての本。

著者は秘密基地に関するあらゆる研究・実践を通し楽しむことを目的として1999年に「日本キチ学会」を設立とのこと。


「日本キチ学会」


魅力的なその活動とは裏腹にそのネーミングのなんと残念なことだろう。放送メディアでは露出するにも二の足を踏みそうだ。

この本も非常に魅力的なテーマである「秘密基地」というものを取り上げながら、語り口がまじめすぎる所為か、読んでいてあまりワクワクしないのが残念だ。テキストなどの装丁も相まって、誰に語っているのかよく分からない。基地を作るこどもに対して語っている本ではないだろう。かと言って、その保護者へ語っているわけでもないようだ。「学会」と付けたのはユーモアゆえではなく、本当に研究したかったからだろうか。秘密基地というものを客観的に考察してみた、という趣きがある。


内容はというと、とても豊富だ。秘密基地に必要な「三つの間」という視点も分かり易いと思う。


秘密基地に必要な「三つの間」

空間を見つける
時間を見つける
仲間を見つける


秘密基地遊びの危険性についても所々で触れられている。あまりにさりげなく触れられているので、危険な遊び方を紹介しておきながら、「危険」です、と小声で言っているようで、どのように受け止めてよいのやら混乱する。もっと表記の仕方が大きくても良かったのでは。

この辺りは大変難しい。管理の行き過ぎは「遊び」そのものを型にはまったものにしてしまうだろう。かといって自己責任で何をやってもよいというものでもないし。

(実はこのことについて私見を延々と書いていたら本の紹介から離れてしまったのでまた別エントリとしよう。)

後書きで『「秘密基地とはこうやって作るべき!」みたいな本はやめよう』ということになったとある。「秘密基地には正解がなく、フォーマットが決まっていないものだから」ということだ。もちろん、それはそうなのだが、「プレーパーク」や、「建築家やホームレスの建築物」、「ワークショップ」の活動などなど、広く浅く取り上げているため、本書のタイトルから拡散した内容となってしまったように思う。しかし、その分、基地に関する情報のとっかかりとなるのでこういう遊び活動に興味のある方には参考になるだろう。


「秘密基地遊び」は日本全国の教育系学部で大学生の卒論のテーマに多く取り上げられているネタではないだろうか。そういうものを読む機会があればな、と思う。



「日本冒険遊び場づくり協会」


「NPO法人 プレーパークせたがや」




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