「デザイン」とは設計思想のことです。見た目の形だけを意味する場合は正確には「スタイリング」と言います。まあ、混同されていますが。
さて、今回は今やどこの家にもある「エアコン」について。
家庭で使う白物家電のうち、カビが発生する可能性の大きい3大家電は、冷蔵庫、洗濯機、そしてエアコンでしょう。
「あかんデザイン」というのは、そういうことが分かっているのに、分解掃除がしにくいということからです。
以前、冷蔵庫の掃除について書きました。
「冷蔵庫メンテ x 設計思想」素人に触らせたくないというメーカーの考えは分かりますが、そこをできるだけ簡単にアクセスできるようにしておくのが設計思想というもの。
私の家のエアコンはもう10年近く前の古いものですが、毎年、専用の洗浄スプレーで掃除をしてきました…なのですっかり安心していたのですが…
しかし、実際、カビが発生しやすい部分はスプレーで洗浄できる「フィン」の部分ではなく、冷気の通るシリンダー状のファンの部分なのですね。暗くて気が付きませんでした。

先月、本格的な夏を前に掃除してみました。

エアコン洗浄スプレーの主な成分は界面活性剤とエタノール。
フィンの洗浄後、ファンの部分をフラッシュ撮影してみると…
閲覧注意?(笑)

埃とカビだらけ((((;゚Д゚)))
結露によって埃が付きやすく、またそこにカビが発生するという構造的問題がある部分です。
ところが、使用者がここを掃除するのは非常に難しい構造になっています。手も入らない。エアコン洗浄というと、専門の業者さんがいるくらいです。
また、こんな注意書きも。

「故障・水漏れのおそれあり お客様自身でエアコン内部の洗浄をしないこと」
設計思想の遅れを自ら認めているようなものです。汚れるのが分かっているのに手入れするな、とは。ゴミを捨てるときにいちいち業者に頼まなければならない「掃除機」があったとしたら購入しますか?
先日取り上げた「掃除機」に比べてまだまだ消費者目線での設計が遅れている分野です。
最近では自動で掃除してくれるものや、プラズマクラスターなど除菌効果のある機能が付属した機種もあるようですが、効果はどーなんでしょうね?検索してみるといろいろな説があるようです…
また、最近のエアコンでは「送風」機能が省かれているという話もあります。冷房した後、送風を少し使うだけで結露が抑えられ、カビが付きにくくなるのですが。
とにかく、ややこしい機能など付けずとも、簡単に取り外せて洗えるようにしておくだけで良いのです。ほんとメーカーさんにお願いしたい。
さて、何かよい手段はないものかと、ホームセンターを物色するとこんなものが。

「多用途 養生マスカー」と言います。塗装や、まさにエアコンの掃除に使うものです。

折り畳まれたビニールの端に弱粘着のテープが付いています。ビニールの幅は何種類かあります。私は一番長い1800mmのものを使いました。

このように漏斗状にまとめて端っこをバケツに入れます。
洗浄液は希釈した「漂白剤」をスプレーボトルに入れて使用しました。カビには効果抜群です。ただし、目や喉に入らないよう、マスクやメガネ(ゴーグル)が必要です。また、私もはじめてだったので、失敗して床を汚したりもしました。
養生マスカー自体は安いものですが、こういう本格的なお掃除をオススメしているものではありません。私はカビだらけのファンを見てしまったので(笑)、その空気を吸うのが嫌だなあ、と思ったから話しのタネに挑戦してみただけです。おやりになる場合は自己責任でどーぞ。
まあ、やってみればさっぱりするし、実際は手間なだけでそんな難しいこともないのですが。必ずブレーカーを落とすかコンセントを外して、また、周囲を片づけてから行いましょう。
漂白剤で処理した後、ブラシをかけ、ウエスで拭き取り、乾燥させます。私は仕上げに最近出回るようになった「クレベリンスプレー」をかけておきました。

まあ、この状態までは誰でも簡単に外せます。筐体の内側にも汚れがついているので浴室で洗います。
さて、ドラッグストアで簡単に入手でき、カビに効果のありそうなものはというと、
もちろん、筆頭はカビキラーなどの「漂白剤」。成分は次亜塩素酸ナトリウム。アルカリ系の非常に強力な薬剤で、
皮膚も侵すので要注意。換気も必要だし、酸性のものと混ぜると危険なガスを発生します。
次にサンポールなど酸性のもの。希釈した「塩酸」が入っています。これも取り扱いは要注意。便器などの陶器には問題ないですが、風呂場の目地や金属、木材、大理石などを侵します。まあ、トイレ以外には応用が利きませんね。
強力な万能選手といえば、「逆性石鹸」です。成分は塩化ベンザルコニウム。通常100~1000倍に希釈して使います。そのままでは危険です。手指消毒から冷蔵庫内の掃除、洗濯物の殺菌まで用途が広い。
比較的扱い安いのが「消毒用エタノール」手指や器具の殺菌など。ただし、引火性があるので火気のある場所や電気関係などでは注意が必要。
「クレベリンスプレー」 新型インフルエンザなどの対策として最近使用されるようになりました。成分は「二酸化塩素」。これも比較的取り扱いはしやすいのですが、金属腐食や漂白などの作用もあるので注意が必要。
いずれの薬剤も使用する場合は、不用意に人体に不着させたり、吸い込まないように注意が必要です。それぞれ用法が異なるので、使用方法を厳守することが必要です。
コメントの投稿