今でも男の子にとって「冒険」という言葉は魅力的に響くのだろうか…?
「冒険図鑑」 さとうち藍 松岡達英 福音館書店 ほぼB6サイズ

この本はそんな子供達と元子供達に捧ぐ図鑑だ。本文を書いたさとうちさんは女性ながら世界を股に掛ける自然系ライター。福音館で多数の著作がある。
「はじめに」の冒頭部分を引用してみよう。
『冒険とは何だろう。文字通りの意味でいうと、危険を冒すこと。辞書のことばを借りると、成功の確かでないことをあえてすることだ。これから自分のすることが成功するか、失敗するかわからないが、あえて勇気を持ってやってみようというのだ。
だからといって、人のやっていないこと、生命に危険なことをむこうみずにやるというのではない。行動に移す前は、慎重に計画を立て、準備をして、危険はできるだけさけなくてはいけない。そのうえで残る1%の予想もつかない危険に対して、勇敢に立ち向かうこと、それがこの本でいう冒険なのだ。』
しびれませんか?
もちろん、内容は引用した部分にもあるように、荒唐無稽な冒険心をあおるものではなく、とてもしっかりと現実的なアウトドアのノウハウが詰めこまれている。
こどものときに読んでいたら、きっと探検家になる夢を膨らませていたことだろう。
B6で厚さ20mm以上にもなるのだが、網羅的に野外活動のノウハウが詰め込まれているため、掘り下げの及んでいない部分もある。しかし、冒険への取っ掛かりとしては必要にして十分だろう。
個人的に残念だと思った部分はイラストのバックに濃いグリーンの網点が多用されているため、やや絵が見にくいこと。
後から知ったのだが、絵を担当している松岡達英紙は私の大好きな絵本「ぼくのロボット大旅行」の作者だった。

図鑑的な要素も散りばめられていて、この絵本も科学好きなこどもの心をくすぐるのだ。
さて、「冒険図鑑」は初版が1985年で、今は「福音館のDO!図鑑シリーズ」として9冊の図鑑がある。両氏のユニットの手による本も数冊が含まれている。
子どもとはじめる自然[冒険]図鑑 1 森と遊ぶ 稲本正 斉藤実 岩波書店 B5

こちらは全10冊のセットで、その1巻め。
「冒険」というサブタイトルがついているが、より身近な森の散策や森での遊びに特化した趣き。
この本では「森」といっても生き物は全く出てこず、「木」に親しむという観点が中心だ。
写真や絵が美しく、木の形やそれらを使った造形遊び、工作などについて詳しく書かれている。視点が物づくりやデザイナーに近いものがあると感じたので取り上げてみた。「子どもとはじめる」とあるように、基本的に大人向けの図鑑となっている。
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- 2013-08-27
- 本
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